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まじめなことを書きます

電子回路と、素粒子としての電子

先日妹(中学生)に電磁気学を教えていた。プリントがたまっていたらしく、電気の分野をまとめてやっていた。自分で言うのもなんだが、うちの兄弟は現役京大物理系学生がいてもまったく自分から聴きにこないので、僕がよくおせっかいしにいくことが多い。

プリントは全部で3枚、うち2枚が回路で1枚が電子についてだった。妹曰く回路はわかるが電子の1枚はわからないらしい。特に陰極線の話で、「なんで電子が電極に吸い込まれずスクリーンに飛び込むのかわからない」とのことだった。

電子回路解析においては、電流はすべて正極から負極へ流れ、電子はその逆で負極から正極へ流れ、漏れは存在しない(と仮定している)。それを考えると、真空放電管でも負極から出た電子がすべて正極に吸い込まれるのでスクリーンには何も映らない、と考えるのも自然ではある。

ただし、電子回路とは、あくまで電磁気学のうち特殊な1分野でしかない。その有用性からいまや電磁気学といえば回路解析かそれ以外の理論的分野か、という状況までなっているわけだが、電子回路で成り立つ常識が他の分野でなりたつことはきわめてまれである。

陰極線とか電子の存在とか理論的な分野は、物理学の基礎となる部分なのでしっかり理解してもらう必要がある。しかし小学校、中学校、高校にいたるまで、線引きはかなりあいまいだった印象がある。「こういう現象があるから電子というものがあるんですよ、じゃあ次回路やりましょうね」みたいな。実際はここで前提としていることは大きく変わる。

なので教育課程において、もはや電子回路と電磁気は別でわけてしまったほうがいいんじゃないかと思った。少なくとも今のようにのっぺり連続に教えていいものではない。

最後に、プリントに「マイナスの電気を帯びた~」とか言う言葉を見て「電荷だろ!」って突っ込みたくなった。